あきさんの異常な提案

ダイバーシティのある生活を提案する人のダイバーシティの無い提案。

絵恋論 地下に生息する天才達

 地下アイドルという表現が個人的には好きである。

 受動的な生活を営んでいても情報の入る地上アイドルと違い、足を踏み出してみないとわからず、だからこそある程度の無理も出来る特異空間。

 そんな、地下に生息する天才の一人、絵恋ちゃんの話をしてみようと思う。

 地下アイドルの多くは地上アイドルの二軍である。
 本当に力が無くそこに居る所もあれば、力はあるけどチャンスに恵まれて無い人、野球の二軍のような素質はあるけどまだ認知されてないアイドルも居る。
 メジャーと地下の間で明確に差が出るのは運営の資金力、特にフローの力強さくらいで、後はメジャーの方が弱点が少ないイメージ。

 逆を言えば、何か尖っているアイドルさんは結構いる。絵恋ちゃんも、そんな尖ったアイドルの一人である。

 絵恋ちゃんのライブは、一言で言えば分かりやすい。多少疲れてても絵恋ちゃんのMCは何を言っているのかが分かる。
 多分、会話のどこかが聞き取れ無いと文脈をつかみ損ねるような話をしていなくて、ふわっと聞いていても意味の分かる、質のいい日本語を使っているからじゃ無いかと思っている。
 アドリブなのに、日本語が変でWordのイルカが出てこ無いイメージ。

 じゃあ、その質のいい日本語でどんなことを言っているかといえば、主にヲタクをディスり、自分をディスる

 5.2のライブでは、昨日ディスりすぎてネットで叩かれたのでディスらない宣言をし、曲がかからなかったPAさんもディスらないよーとフォローして笑いを取っていた。
 曲中もケチャしながら突進してくるヲタ達を見て、これが地獄絵図だなぁみたいなことを言うし、認知を欲しがるヲタに対して、自分のエピソードを交えながら、『なので、私の物販で絵恋ちゃん俺分かる?みたいなことを言わないでください』など、フリオチが効いてるので、聞いてて気持ちのいい茶々を入れてくる。

 前出のPAさんディスらないパターンに至っては、そこでかけた曲が『社交辞令』を連呼する歌であり、トラブったスタッフさんへの怒ってないなんて嘘みたいな流れは、アクシデントでさえ台本なんじゃないかという綺麗すぎる流れ。


 さらに、社交辞令だったり、就職しないと!など、社会に馴染めない感じの面白い楽曲は絵恋ちゃんが作っているらしく、自作の歌とキャラクターがしっかりしていて、前のアイドルがどんなアイドルでも、一気に絵恋ワールドを展開し、短い時間でもしっかり仕事して帰っていくところは本当に天才的だと思う。

 なかなか見る機会はない人も多いと思いますが、イベントに絵恋ちゃんの名前があったら、とりあえず見てみると、面白くて、なかなか地上じゃ見られない感じはオススメです。


 さらに、もう一つ絵恋ちゃん凄いなーと思ったエピソードがあります。
 5.2のライブ物販。いろんな人も良かったなーとDD決め込みながら、絵恋ちゃんの物販にならぶと、売ってるCDの楽曲リストに目が行った。
 売ってるCDに入ってる楽曲リストでさえ無いアイドルが普通の中、この楽曲リストに『今日やった歌はコレですよ』とチェックが入っていた。
 大層な努力というわけでは無い。
 しかしながら、この小さなホスピタリティーが、ライブでこの曲面白かったから音源欲しいなと思った時に、どれを買えばいいか分かりやすいし、このきめ細かやかなサポートは本当に買う側のことを考えてるんだなあーと思った。
  ステージから物販でのチェキ交流に至るまで、ヲタクへのディスりと手厚いホスピタリティーを欠かさない絵恋ちゃんワールドの完成度。一度ご賞味あれ。

追伸
 この人が普段は普通にレジ打ちのバイトをしてるらしい。
 怠惰なメジャー運営は絵恋ちゃんのホスピタリティーに心を打たれてアドバイザー。いや、師匠として雇うべきだ!